自学自習にも問題があります。「独学」というと、じつに響きがいいですね。たしかに、独学をした人には優れた人が多い。しかし、狭い。視野狭窄というやつです。そして、自分のやっていることを必要以上に重要視する。それを否定されると、生命を絶たれたような態度に出ます。独学の人は、だいたいが不遇です。でも、そういう人にも光が当たる場合がある。そして、一度光が当たると、もっと光が当たって当然という態度になり、そう60ならない場合には、光を当てた人に怒りを抱くなどということが起こります。感謝心がないのです。感謝心を小さい時からもっだ経験のない人は、幸運に出会って、それを感謝心で表さなければならないときにも、嫉妬心に席を譲ってしまうのです。「幸運だ、ありがとう」とはならず、「当然だ、もっとよくしてくれないのはけしがらん」ということに、おうおうにしてなるのです。独学の人には、だから、怖い人が多い。独学の人には、大学にゆかず、あるいは、残らず、自分でせっせと写経をするタイプが多い。ただ、写経の仕方が狭いんです。この意味で、基礎訓練に偏りがある。しかも、偏りを偏愛します。よくいえば、一途です。それに、「独」学ですから、相手がいない。相手にされない。つまり、広く認められる土俵を持ち合わせていないんです。もっとも、独学の人をきちんと遇する仕方を学問の世界が用意してこなかった、ということを忘れない方がいいでしょう。「黙殺」という形で遇する以外にです。
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