どういう条件があれば独創性があるといえるのだろうか。おそらくは、人類が蓄積してきたものを十分に吸収したうえで、新しい考え方を生み出すことが、ひとつの条件だろう。つまり、独創性とは学習と継承を前提としたものであり、学習と継承がなければ独創性はないといえるのではないだろうか。たとえば、翻訳の対象になる原著について考えてみよう。どれほど独創的な小説であっても、ほんとうに新しいといえる点は、一パーセントもないはずだ。小説という形態は大昔からある。使っている言葉はもちろん、長い長い歴史があり、多数の人たちが使っているものである。どれはど独創的な小説でも、九十九パーセント以上は他人に学び、他人から継承してきたもののはずであり、そうでなければ、読者に理解されるはずがないし、支持されるはずがない。画期的な新技術と呼ばれるものも、その中身を見ていけば、九十九パーセント以上は既存の技術に依存しているはずである。そうでなければ、SFの題材にはなっても、実用化はできない。実用化できたとしても、高価になりすぎたり、ユーザーに理解されなかったりして、市場で受け入れられない。