最近、Kさんが奥さんと別れる、と口にするようになってきた。そうすれば、Tさんにとっても万万歳、晴れて幸せになれる日も近いね、と言ったら、彼女は首を傾げて俯いてしまった。「そう言われて、考えたんですけど、もしKさんが奥さんと別れても、私は彼と結婚しないと思う。ズルイんだけど、大好きだけど、結婚する勇気はないんです」。理想を言えば、Kさんが結婚していなければ一番いい。そしていけないと思いながらも、Kさんの奥さんが病死での死に別れだったらまだいいのに、とさえ思うと言う。「ひとりっ子の私の結婚相手が、バツイチだなんて。しかもその原因が私にあるなんて。とても両親に話せない。本当にズルイですよね。でも私には子供みたいな結婚願望がまだあるんです。みんなに祝福されて、幸せになりたい。親にも親戚にも友達にも。Kさんとじゃ、それが望めない。両親にはきちんと花嫁姿、見せてあげたいんです」。もう初々しい花嫁さんは無理だけど、と言ってTさんは少し笑った。先日、その鳥取のご両親から電話があって、今度の正月には彼と帰っておいで、と言われたそうだ。もちろん、Kさんではなく、交際中の彼と。「悩んでます。彼と来いっていうことは、彼との結婚をもう一度考えてくれるっていうことだと思うから。養子じゃなくていいなら、彼との結婚に障害はなくなるんですよね」。理想と現実の間で、今Tさんは揺れている。けど、妥協もできない。難しい選択を彼女は今、迫られている。綺麗ごとばっかりは言ってられない。